RABBIのクッキングラボ

有益「裏」情報ブログ。料理・お菓子作りのレシピ、余すとこなく解説します。徹底的に。

【徹底解説】(ほぼ)失敗しない本格カヌレの作り方<コツをおさえた簡単(?)レシピ>

どうも、RABBIと申します。
先日、ニコニコ動画にカヌレの動画をあげました。


この動画は、カヌレ作りのあらゆるポイントを、徹底的に詰め込んだバイブル
動画は大分ふざけてますが…


材料や手順をさらっと確認したい方は、本記事に目を通していただいた方が手っ取り早いかと。


で、そのカヌレですが、これは焼き菓子の中でも
かなり難易度の高い部類とされています。


それを最もよく示す失敗例が、
「生地を焼いたら、型からはみ出てしまう」
ことだと思います。


↓その図
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こうなってしまうと、当然のように仕上がりが悪くなります

具体的には、


・形が歪(いびつ)
・焼き加減が不均一


など。他にも色々あるとは思いますが…


私も、幾度となく失敗を繰り返しました
完成するのにかかった期間は、約3ヶ月


ええ、かかりすぎですね。
(だって仕事が忙しかったんだもの)


ですが妥協せず、試行錯誤を重ねたからこそ、
カヌレ作りにおけるコツを、しっかりとつかむことができました。


本記事では、そうした失敗経験によるノウハウを、惜しみなく公開しています。


現在カヌレ作りに苦戦中の方、あるいはこれからカヌレを作ろうとしている方は、
ぜひ参考にしていただければ幸いです。



【分量(10個分)】
牛乳 460cc
生クリーム 40cc
カソナード 70g
バニラビーンズ 1本
薄力粉 40g
強力粉 80g
グラニュー糖 170g
全卵 1個
卵黄 2個
バター 30g
ラム酒 15cc




1. バニラビーンズ1本の種を、こそぎ取る
  

<ポイント>

カヌレ10個分なら、バニラビーンズは丸1本使った方がいいです。
バニラの風味を、しっかりと利かせられるから。


高いバニラビーンズを丸1本使うなんて、何だかもったいないですよね…


私も貧乏性なので、最初はケチって1/2本だけ使っていました。
でも1/2本だと、ちょっと味わいが物足りないです。


なのでできれば、丸1本使ってください。



2. 鍋に牛乳460cc、生クリーム40cc、カソナード70g、1.のバニラの種を入れ、弱火にかける。カソナードをしっかり溶かすよう、混ぜながら温める。


<ポイント>

➀生クリームを入れていますが、これは


・コクを少し与え、
・生地が膨らみ過ぎるのをおさえる  


ためです。


コクが深まるのはわかると思いますが、「膨らみを抑えるとは何ぞや…」ってなりますよね。


実は、膨らみの発生源となるグルテンは、油脂と合わさると形成されにくくなるんです。
(グルテンの効果については、後の手順で説明)


生クリームは動物性脂肪ですから、油脂(油や脂肪)の一種ですね。
なので生クリームを入れると、爆発を抑えられるというわけです。


一般的には生クリームを使わないレシピの方が多いのですが、
こうしたメリットが得られるので、オススメ

 
  
②カソナードを入れていますが、これは、


カヌレと相性がよかったから。


まあ、元々は余っていたのを消費したかっただけですが。


カソナードは、サトウキビ100%で作られる、フランスのお砂糖。
ハチミツやバニラ、ラムのような風味とよく言われます。


実際、カヌレにはバニラビーンズやラム酒を使います。


ハチミツ入りのレシピはあまり見かけませんが、伝統的な作り方だと型に蜜蝋(ミツバチの分泌腺から得られるロウ)を塗ったりしますし…


何となく、相性がいいのもうなずけるかと。


ですが風味がやや独特なので、苦手っぽい方や、用意するのが面倒な方は、
グラニュー糖に置き換えても問題はありません


ただしその場合は、ラム酒をもう少し多めにした方がよいかもしれません。



③もう1点、カソナードについて。


カソナードを火にかける理由ですが、それはしっかり溶かすため
粒子が荒いので。


ここでよく加熱しないと、
オーブンで焼いてもザラザラ感が残り、舌触りが悪くなります



3. 薄力粉40gと強力粉80gをふるい、ボウルに入れる。

 
<ポイント>

➀「なぜ強力粉を入れるのか」についてですが、

これはカヌレらしいモチモチ感とカリカリ感を出すためです。


カヌレと言えば、


中はパンのように、モチっとした弾力。
外はやや硬めの、カリっとした歯ごたえ。


この2つの食感を楽しめるのが醍醐味ですね。


強力粉はこのような食感を与えてくれる材料なので、
カヌレ作りにとって必須。


薄力粉だけで作ると、のっぺりしたスポンジ生地のようになってしまいます
(弾力がなくなる)


  
薄力粉と強力粉の比率ですが、これはめちゃくちゃ重要。


生地の膨らみ具合と食感が変わるから。


結論から言うと、強力粉の割合が高いほど膨らみやすくなり、モチっとした食感になります。


個人的に薄力粉と強力粉の比率は、1:2がベスト
このレシピでは、薄力粉が40g、強力粉が80gですね。


一般的には、薄力粉と強力粉を半々で作るレシピが多いです。


次に多いのが、薄力粉の方を少し多めにするレシピ。
まれに薄力粉のみで作るレシピや、中力粉を使うレシピも。


実際に


薄力粉のみ
薄力粉多め・強力粉少なめ
薄力粉と強力粉半々


で作ってみましたが、いずれも弾力が足りない感じがしました。
なので私は、強力粉の方を少し多めにしています。


ちなみに、強力粉だけで作っても上手くいきません
なぜなら焼いたときに生地が膨れ上がり、爆発しやすくなるからです。


強力粉には「グルテン」と呼ばれる成分が、薄力粉よりも多く含まれています


このグルテンの効果は、生地に粘りを出したり、生地を膨らませること。
だから、入れすぎると膨らみすぎる原因となってしまいます


また、強力粉が多すぎると焼き上がりの皮がめちゃくちゃ硬くなります
噛みちぎれないほどです。


入れすぎ、厳禁。
   


4. 3.にグラニュー糖を170g加え、混ぜる。



5. 4.に2.の牛乳を加え、混ぜる。


<ポイント>

牛乳がもし冷めていたら、少し温めます
冷めていると小麦粉が溶けにくく、しっかり混ざらないため。


ただし温めすぎには要注意
次の工程で入れる卵に、熱が入って固まってしまいます



6. 5.に全卵1個と卵黄2個を加え、混ぜる。


<ポイント>

卵は、冷蔵庫から出して常温にしておきます
冷えていると、生地と混ざりにくいです。



7. バター30gを鍋に入れ、茶色になるまで弱火で加熱する。焦がしバターができたら、6.に加えて混ぜる。


<ポイント>

普通に溶かしたバターでも作ってみましたが、
焦がしバターの方が、風味が一層よくなりました




8. 7.にラム酒を15cc加え、混ぜる。


<ポイント>

15ccという量は、他のレシピと比べるとやや少なめ


ただ、個人的にはこれくらいがちょうどいいですね。
これ以上入れると、黒糖のような甘ったるさを感じてしまいます


それにカソナードでラムっぽい風味も出ているので、
そこまで入れる必要がないというのもあります。
(ラムもカソナードも、サトウキビが原料)


でもラム好きな方は、もう少し入れた方がいいかも…



9. 8.を冷蔵庫に入れ、最低一晩(8時間以上)寝かせる。


<ポイント>

寝かせることで、グルテンの形成を抑えることができます。
これも、爆発させないための重要な工程です。



10. 型の内側にオイルスプレーをかけ、刷毛でなじませる。


<ポイント>

一般的にはバター、本格的には蜜蝋を塗ります。
バターだと塗りにムラが出やすいので、オイルスプレーを使用。


蜜蝋は、用意するのが面倒でした…



11. 9.の生地をこして、型に流し込む。


<ポイント>

こすのは、バニラのくずなどを取り除き、なめらかにするため。


流し込む量は、型の8分目くらいがちょうどいいですね。
(私はもったいなくて、全部入れちゃいがちですが)


あと、計量カップにこしてやるのがオススメです。
注げるようになり、型に入れやすいので。



12. 11.を天板にのせ、オーブンに入れる。そして、230度で予熱。


<ポイント>

天板ごと予熱するのは、上火と下火のバランスをとるため
家庭用のオーブン、特に古いものや安価なものだと、下火が弱いことがよくあります


下火が弱いと、

上火の方が強いということ
上火が強いと、生地の表面から先に焼き上がっていく
生地の内部で発生する蒸気が、逃げ道を失う(表面から出られなくなる)
逃げ道を失った蒸気が、生地の中で暴れる
この外に強く押し出ようとする力が、膨らみすぎる要因に


また、逆に上火が弱いと、

下火が強いということ
生地の内部で発生する蒸気が、全て表面から外に出ていく
全然膨らまなくなる


ということになります。
  

下火が弱くても、上火が弱くても失敗しやすくなります。
同じくらいの温度にしてやる必要があるのです。


膨らみ過ぎるのもダメですが、
全く膨らまないのも焼き縮みの原因となるので、ダメ。



13. 230度で5分、次に210度で110分焼く。


<ポイント>

カヌレは高温で焼く必要があります。


オーブンの温度が低いと、生地の中の水分が、あまり水蒸気へと変わりません
つまり膨らみにくくなり、背の低いカヌレになりやすい


ちなみに230度という温度は、高温の限界値
(あくまで私のオーブンでの話)


240度でやったら、予熱の段階で生地が大きく沸騰してしまいました。
結果、中身が外にあふれ出て、出来上がりの量が減ることに。


また、高温でしっかり沸騰させたカヌレは、その証として生地の内部に「す」と呼ばれる気泡ができます。


これができていたら、成功…らしいですよ。



②温度を下げる理由ですが、これも爆発を抑えるため


230度で5分焼くと、膨らみ始めた生地が少し型からはみ出てきます


ここでいったん、210度に下げるのです。
でないと、膨らみ過ぎて破裂する可能性があります。


➀で「膨らませるために高温で焼く」的なことを書きましたが、
だからといって高温で焼き続ければいいというわけではございません


前半は膨らませ、後半は膨らみを抑える」といった感じでしょう。



5個で焼く場合は、230度で5分→210度で80分くらいでOKです。


練習のときは5個で焼いていたのですが、10個だと焼き時間がもう少し必要でした。
  

ただし焼成温度と焼成時間は、あくまでも目安
最近のそこそこいいオーブンなら、もう少し低い温度や短い時間で焼けるかもしれません。


ご自宅のオーブンに合わせて、調整しましょう。
   


14. 焼き上がったら、オーブンからすぐに取り出す。そしてケーキクーラーなどにのせ、ラップやアルミホイルを被せて1日寝かせる。


<ポイント>

カヌレは、できた翌日に食べた方が美味しい。
1日経った方が味がなじみ、皮も歯ごたえのある食感に


2日目以降は、歯切れよさが落ちていきます





まとめ


以上です。
いかがでしたでしょうか。


一応私的には、「これで満足」です。
でも改善の余地は、まだあるかもしれません。


少し間をあけ、久しぶりに食べた時、

「あれ?」

って感じたら、再度改良を重ねていこうと思います。


ここまでお読みいただき、どうもありがとうございました。



追記:バニラのさやが余ったら…
www.rabbi-info.com



最後に、今回使った器具やオススメのアイテムを、以下に載せておきます。


以下からご購入いただけると、少しでも研究費となるので大変助かります。
今後も皆様に有益な情報をご報告して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。


それでは、お疲れさまでした。



<カヌレの型(銅)>

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10個セットの、銅型です。

10個セットでの販売は、今のところ楽天のみ
私はこれを買いました。

銅の型は熱伝導がよく、型離れ抜群
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高いですが(ここ重要)


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2本入ってこのお値段。お得。
高いところだと、1本500~1000円くらいしますからね。

私の動画で使っているバニラビーンズも、ここのものです。
風味もしっかりしていますし、安いからと言って特に問題はありません


<ストレーナー>
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小、中、大の3点セット。
こすのにも、粉をふるうのにもOK。

先端に取っ手(?)のようなものが付いているので、ボウルにかけた状態で使えます

片手で持つ必要がないということです。
動画でも使用しています。

また、フックにかけられるようにもなっているので、収納に便利


<ケーキクーラー>
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黒の丸型ケーキクーラー。
シンプルながらもどこかスタイリッシュで、映える子かと思います。


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バニラ、ハチミツ、ラムのような風味とよく言われます。

独特ではありますが、これを使うと一味変化

 

カヌレの他には、フレンチトーストやクレームブリュレなどで使えます。

 

砂糖なので、賞味期限はありません

一度買っとくと基本的にずっと使えるので、750g入りのものがオススメ

 

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<ラム>
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マイヤーズのダークラム。
芳醇ながらもクセがなく、少し使うだけで一味変わります

200ml入りで、使いやすいのも良し。
ラムは他のお菓子作りでも使えるので、余って処分に困ることもないかと


以上。
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